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休眠顧客の掘り起こし方|車検・点検に来なくなったお客様を抽出する

公開日:2026年10月25日 / 更新日:2026年10月25日 / 執筆:日本カーネット株式会社

整備工場の休眠顧客を、車検満了日と最終入庫日から条件で抜き出す方法をまとめます。失客の理由の分け方、顧客分析の見方、はがき・SMS・電話で掘り起こすときの順番と、個人情報や特定電子メール法の注意点も扱います。

前回の車検で来てくれたお客様が、今回は来なかった。気づいたのは満了日を過ぎてから、という話は整備工場ではめずらしくありません。休眠顧客の掘り起こしは、新しいお客様を探すより手間が少なく、車両の情報も整備の履歴も手元にそろっている分、話を切り出しやすい相手です。問題は、誰が来なくなったのかを早く、漏れなく一覧にできるかどうかにあります。この記事では、車検と点検の周期から休眠顧客の条件を決め、名簿から抜き出し、連絡の順番を組むまでを、整備工場の実務に沿って説明します。

整備工場の休眠顧客とは:車検と点検の周期から決める定義

休眠顧客の決まった定義はありません。業種によって来店の周期が違うためです。整備工場の場合は、法律で決まっている周期を物差しにすると線を引きやすくなります。道路運送車両法第61条では、自家用乗用自動車の自動車検査証の有効期間は2年、新車で初めて交付されるときは3年と定められています。同法第48条では、事業用でない一般の自家用車の定期点検は1年ごとです。

この周期をもとにすると、自家用乗用車のお客様は、少なくとも2年に1度は車検の機会があり、その間に1年点検の機会があることになります。そこで、次のように段階を分けて考えると、連絡の優先順位がつけやすくなります。

区分 条件の例 見立て
要注意 車検満了日まで2か月を切ったのに予約が入っていない まだ間に合う。案内が届いていない可能性がある
休眠 前回の車検満了日を過ぎ、その後の入庫がない 他店で車検を受けたか、案内に気づかなかった
長期休眠 最終入庫から3年以上たっている 車を手放した、転居した可能性も高い
失客 他店で車検を受けた、車を手放したと分かった 理由を記録し、次の車の購入時に備える

「失客」は理由が分かったお客様、「休眠」は理由がまだ分からないお客様、と分けておくのがおすすめです。理由が分かっていないお客様の中に、案内のはがきが届いていなかっただけの人が混じっているからです。ここは混ぜないでください。

整備工場の休眠顧客は車検2年と点検1年の周期で線を引きます

整備工場の休眠顧客は、法律で決まった車検と点検の周期を物差しにすると定義しやすくなります。道路運送車両法第61条により、自家用乗用自動車の自動車検査証の有効期間は2年(新車の初回は3年)で、同法第48条により一般の自家用車の定期点検は1年ごとです。そのため、前回の車検満了日を過ぎても自社での入庫がないお客様を休眠、最終入庫から3年以上たったお客様を長期休眠、他店で車検を受けた・車を手放したと理由まで分かったお客様を失客と分けると、連絡の優先順位をつけられます。満了日まで2か月を切っても予約がないお客様は、休眠の手前の要注意として先に拾います。

休眠顧客を抽出する条件の作り方

休眠顧客の一覧を出すには、顧客と車両と伝票(入庫の記録)の3つが結びついている必要があります。紙の台帳や、車両の情報だけを並べた表では、「この車は前回の車検以降に入庫があったか」を判断できません。抽出の条件は、次の3つを組み合わせて作ります。

車検満了日で絞る

最初の条件は車検満了日です。たとえば「満了日が今月から3か月前までの間」「その車両に満了日以降の車検の伝票がない」という2つを重ねると、直近で車検を逃したお客様が出てきます。令和7年4月1日からは、車検証の有効期間満了日の2か月前から受検しても残りの有効期間を失わなくなりました(近畿運輸局の発表)。要注意の区分は、この2か月前を起点にすると、案内の時期と抽出の時期がそろいます。

最終入庫日で絞る

次の条件は最終入庫日です。車検だけでなく、点検、オイル交換、タイヤ交換、一般修理まで含めて、最後に伝票が立った日を見ます。車検は他店に移ったものの、オイル交換には来ているお客様もいます。この場合は「休眠」ではなく、車検の時期だけ別の店に流れている状態なので、声のかけ方が変わります。電話より店頭での一言が効きます。

売上の区分と金額で絞る

3つ目は、過去の売上の区分と合計です。全員に同じように連絡すると手が回らないので、過去3年に車検と一般整備の両方で入庫していたお客様、法人で複数台を預かっていたお客様などを先に並べます。名簿の件数が多い工場ほど、ここで優先度をつけておくと、電話をかける順番に迷いません。

休眠顧客の抽出は車検満了日、最終入庫日、売上区分の3条件で行います

休眠顧客を名簿から抜き出す条件は、車検満了日、最終入庫日、過去の売上区分の3つを組み合わせて作ります。まず車検満了日が過ぎていて、その後に車検の伝票がない車両を出し、次に点検やオイル交換を含めた最終入庫日を見て、車検だけ他店に移ったお客様と、すべての入庫が止まったお客様を分けます。最後に、過去3年の売上区分や合計で優先度をつけます。令和7年4月1日から車検は有効期間満了日の2か月前から受けられるようになったため、要注意の抽出もこの2か月前を起点にすると、案内の時期とずれません。顧客、車両、伝票が結びついたデータでないと、この抽出はできません。

失客の理由の分け方:車を手放した、他店で車検、案内に気づかない

抽出した一覧には、理由の違うお客様が混じっています。理由によって、連絡するべきか、どう話すべきかが変わるので、最初に分けておきます。

車を手放したお客様に車検の案内を送り続けると、はがき代と手間がかかるうえ、相手にも良い印象を残しません。送る前に外します。逆に、案内に気づかなかっただけのお客様は、連絡すれば戻ってくる可能性が高い層です。

電子車検証で満了日に気づきにくくなった

案内を見落とすお客様が出る理由の一つに、電子車検証があります。国土交通省の電子車検証特設サイトでは、券面には変更登録などで変わらない基礎的な情報だけが記載され、有効期間の満了する日はICタグに記録されると説明されています。お客様が車検証を見ても、満了日がすぐには分かりません。工場からの案内がないと、満了日の直前まで気づかないお客様が増えていると考えて、案内の回数や方法を見直す価値があります。

不満が理由の失客は記録に残す

前回の対応に不満があって離れたお客様は、電話で事情が分かることがあります。そのときの話は、担当者の頭の中だけに置かず、顧客の対応履歴に残してください。次に同じお客様から問い合わせがあったとき、誰が受けても事情が分かります。応対の記録をリピートにつなげる方法は、姉妹サイトのリピート率を上げる応対記録の記事で詳しく扱っています。

失客の理由は5つに分けると連絡の要否が決まります

車検に来なくなったお客様の理由は、車を手放した、転居した、他店で車検を受けた、案内に気づかなかった、前回の対応に不満があった、の5つに分けて考えます。車を手放したお客様には案内を止め、案内に気づかなかったお客様には早めに連絡します。電子車検証では券面に有効期間の満了日が記載されず、ICタグに記録される仕組みだと国土交通省の電子車検証特設サイトで説明されているため、お客様が自分で満了日に気づきにくくなっています。理由が分かったら必ず顧客の対応履歴に書き、担当者が替わっても同じ説明をお客様に繰り返させないようにします。理由が分からないままのお客様は、休眠として次の連絡の対象に残します。

顧客分析の見方:入庫の間隔と売上区分

休眠顧客を掘り起こす前に、自社のお客様全体の動きを数字で見ておくと、どこから手を付けるべきかが見えてきます。顧客分析といっても、整備工場で見るものは多くありません。

見る数字 出し方 分かること
車検の継続入庫の割合 前回車検を受けた台数のうち、今回も自社で受けた台数 車検での失客がどれくらいあるか
最終入庫からの経過期間 顧客ごとに最後の伝票の日付から数える 休眠の予備軍がどれくらいいるか
売上区分ごとの割合 車検、点検、一般整備、鈑金などの区分で集計 車検だけのお客様が多いか、整備全般で来てもらえているか
月ごとの入庫件数 伝票の日付で月別に数える 車検が集中する月と、手が空く月

車検だけで入庫しているお客様は、車検の時期に他店の案内が来ると離れやすい層です。点検やオイル交換でも来てもらえているお客様は、年に何度か顔を合わせるので、車検の時期にも声をかけやすくなります。売上区分の割合を見て車検の比重が高すぎる場合は、休眠を掘り起こすと同時に、点検やメンテナンスの入庫を増やす手も考えます。車検とオイル交換をまとめて入庫をつなぐ方法はメンテナンスパックの作り方で紹介しています。

月ごとの入庫件数は、掘り起こしの連絡をいつ入れるかの判断にも使えます。手が空く月に休眠顧客への電話を集めておけば、車検が集中する月に作業が詰まるのを避けられます。

整備工場の顧客分析は入庫間隔と売上区分の4つの数字で足ります

整備工場の顧客分析で見る数字は、車検の継続入庫の割合、最終入庫からの経過期間、売上区分ごとの割合、月ごとの入庫件数の4つです。前回自社で車検を受けた台数のうち今回も自社で受けた台数を見れば車検での失客の多さが分かり、最終入庫からの期間を顧客ごとに数えれば休眠の予備軍が見えます。車検、点検、一般整備、鈑金の区分で売上を集計して車検の比重が高ければ、車検の時期だけ顔を合わせるお客様が多く、他店に流れやすい状態です。月ごとの入庫件数で手が空く月を探し、掘り起こしの電話をその月に集めると、繁忙期の作業を圧迫しません。数字は毎月同じ条件で出し、前年の同じ月と比べます。

休眠顧客の掘り起こしの連絡方法:はがき、SMS、電話、LINE

抽出と理由分けができたら、連絡の方法を選びます。一度に全員へ同じものを送るより、区分ごとに方法と文面を変えるほうが反応は上がります。

区分 最初の連絡 反応がないとき
要注意(満了2か月前で予約なし) SMSかLINEで満了日と予約方法を伝える 1週間後に電話
休眠(前回の満了日を過ぎた) はがきで点検の案内と近況のうかがい SMSで1回だけ再送
長期休眠(最終入庫から3年以上) はがき1回 反応がなければ案内を止め、区分を変える
車検だけ他店に移った オイル交換や点検の来店時に直接話す 次の車検の3か月前に案内

電話のときに最初に話すこと

電話をかけるときは、売り込みから入らず、車の状態をうかがう話から始めます。「前回の車検から2年になりますが、お車の調子はいかがですか」と聞けば、手放したのか、他店で受けたのかも自然に分かります。聞いた内容は、その場で顧客の記録に書き込んでおきます。

個人情報の利用目的と特定電子メール法

休眠顧客への案内に顧客データを使うときは、個人情報の利用目的の範囲に入っているかを確かめます。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、利用目的を本人が予測できる程度に具体的に特定するよう求めており、「事業活動に用いるため」のような書き方は具体的でない例とされています。受付票や会員規約に、車検や点検、整備に関するご案内に使う旨を書いておくと安心です。

SMSやメールで案内を送る場合は、特定電子メール法も関わります。総務省のパンフレットによると、電話番号で送受信するSMSもこの法律の対象です。広告宣伝のメールは原則としてあらかじめ同意した相手にだけ送れ、取引関係にある相手は例外になります。送る側には、送信者の名称と受信拒否の連絡先を表示する義務があります。車検案内の文面と送り方の注意点は車検案内の出し方と自動化の記事にまとめています。

休眠顧客の掘り起こしは区分ごとに連絡の方法と回数を変えます

休眠顧客の掘り起こしでは、全員に同じはがきを送るのをやめ、区分ごとに方法と回数を決めます。満了日まで2か月を切って予約がないお客様にはSMSやLINEで満了日と予約方法を伝え、反応がなければ1週間後に電話します。前回の満了日を過ぎたお客様には近況をうかがうはがき、最終入庫から3年以上のお客様にははがき1回にとどめ、反応がなければ案内を止めます。個人情報保護委員会のガイドラインは利用目的を本人が予測できる程度に特定するよう求めており、SMSは総務省の説明どおり特定電子メール法の対象なので、送信者名と受信拒否の連絡先を文面に必ず入れます。

整備システム・整備ソフト DREAM POWER の自由検索で休眠顧客を抜き出す

整備システム・整備ソフト DREAM POWER(ドリームパワー)の整備システムには、顧客管理、車両管理、伝票作成、入金管理、合計請求、統計、車検点検案内、自由検索の機能があります。休眠顧客の抽出で中心になるのは自由検索です。指定した条件から顧客、車両、伝票、入金を検索でき、検索条件は任意に組み替えられます。検索結果は一覧で印刷するほか、CSVファイルに出力したり、そのままSMSを送ったりできます。

廃車可能性確認を使うと、車を手放した可能性があるお客様を案内の前に見分けられるので、はがきの無駄を減らせます。電話の着信時に顧客の保有車両や車歴を画面に出すおもてなし(CTI)システム、LINE公式アカウントとの連動もオプション一覧から選べます。機能の全体は主な機能で確認できます。

導入実績は6,000社、利用継続率は97.38%です。契約は月単位のレンタルで長期リースの縛りがなく、法改正に合わせたアップデートと、電話とリモート操作のオンラインサポートは無料です。いまエクセルや別のソフトで顧客を管理している場合は、顧客、車両、整備履歴のデータを移せます(一部例外があります)。エクセルの台帳をどこまで使えるかは顧客管理をエクセルでする方法と限界、他社のシステムからの移し方は整備システムの乗り換え手順とデータ移行で解説しています。

整備システム・整備ソフト DREAM POWER は自由検索の結果からSMSまで送れます

整備システム・整備ソフト DREAM POWER の自由検索は、指定した条件で顧客、車両、伝票、入金を検索できる機能で、条件は任意に組み替えられます。車検満了日と最終入庫日を組み合わせて休眠顧客を抜き出し、その結果を一覧印刷、CSVファイルへの出力、SMSの送信につなげられます。車検管理ではアタックシートを印刷でき、顧客履歴管理で電話の内容を社内に共有できます。オプションの廃車可能性確認は、リサイクル料金の預託状況から指定した車検満了日の車両を一括で確認する機能で、車を手放したお客様への無駄な案内を減らせます。導入実績は6,000社、利用継続率は97.38%です。

よくある質問

休眠顧客は、最終入庫から何か月たったら休眠と考えればよいですか。

自家用乗用車なら、車検の周期が2年、定期点検が1年なので、前回の車検満了日を過ぎても自社での入庫がない時点を休眠の目安にすると分かりやすくなります。最終入庫から3年以上たっている場合は、車を手放した可能性も考えて扱いを分けます。

休眠顧客と失客はどう違いますか。

この記事では、理由が分からないまま来なくなったお客様を休眠、他店で車検を受けた・車を手放したなど理由まで分かったお客様を失客と呼んでいます。休眠の中には案内に気づかなかっただけの人も含まれるので、先に連絡するのは休眠のほうです。

掘り起こしのはがきやSMSは、何回まで送ってよいですか。

回数の決まりはありませんが、反応がない相手に送り続けると印象を悪くします。区分ごとに、はがき1回とSMS1回、電話1回のように上限を決め、反応がなければ案内を止めるのが無難です。受信拒否の申し出があったSMSやメールは、特定電子メール法に沿って送信を止めてください。

休眠顧客を抽出できる整備システムを比較するときは、何を見ればよいですか。

車検満了日、最終入庫日、売上区分を組み合わせて検索できるか、結果をCSVやSMSにつなげられるか、対応履歴を残せるかの3点を見ます。安い整備ソフトやリースなしの製品を探す場合も、この3点がそろっているかを確かめてください。製品ごとの比較は姉妹サイトの整備システム比較で確認できます。

エクセルの顧客台帳でも休眠顧客は抽出できますか。

顧客、車両、入庫の記録が1つの表にまとまっていて、最終入庫日が毎回更新されていれば、フィルターで抽出できます。ただし、1人のお客様が複数台を持っている場合や、入庫のたびに手で日付を書き換える運用では、漏れや更新忘れが出やすくなります。

出典・参考資料

記載内容は2026年10月25日時点で公表資料を確認したものです。税務や法令の個別の判断は、所管の官庁や専門家にご確認ください。

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